最近、「子どもの自己肯定感を高めよう!」という言葉を、さまざまな場面で見かけます。YouTubeや記事でも、「絶対にNGな関わり3選!」といったタイトルが並び、大人たちの関心の高さがうかがえます。
では、そもそも「自己肯定感」とは何を指すのでしょうか?本当に子どもにとって必要なものなのか。必要だとすれば、どのような関わりが有効なのか。今回はその点を整理し、「自己肯定感」と関連する項目について考えてみたいと思います。
「自己肯定感」とは何かを整理してみる
冬野は、「自己肯定感」という言葉が広く一般に使われるようになるにつれて、その解釈が徐々に変化してきているように感じています。
最近では、「自尊感情」や「自己有能感」とほとんど同じ意味で使われる場面も多く見られます。
そのため、「とにかく褒めよう」「ネガティブな声かけは避けよう」「子どもに得意なことをさせよう」といった関わりが、よく推奨されているようです。
しかし、本来の「自己肯定感」は、
「自分はこれでいい」「自分の存在には価値がある」と思える感覚
を指します。
一方で、「自尊感情」は、
「自分には能力がある」「人として価値がある」と思える感情
です。
つまり、
- 「自己肯定感」は、ありのままの自分を認める力
- 「自尊感情」は、自分の能力や評価に対する実感
と言い換えることができます。
その違いはどこに現れるのか?
この2つの違いは、子供が「挑戦」に直面したときによく表れます。
- 自己肯定感が高い子供は、「失敗しても大丈夫。自分には価値がある」と考え、前向きに挑戦できます。
- 自尊感情が高い子供は、「自分はできる。成功できるはず」と自信をもって取り組みます。
挑戦に向き合う姿勢として、どちらも大切な感覚です。
ただし、「自尊感情」には危うさもあります。
「自尊感情」の落とし穴
「自己肯定感」と「自尊感情」には、基本的には正の相関があると考えられます。たとえば、「○○ができる自分は価値がある」と思えることが、両者を高めるからです。
しかし、「自尊感情」は実際の能力とは無関係に高まることもあります。
これは、周囲の大人の関わり方や環境によって、子ども自身が「自分はできる」と思い込むことで生じます。
結果として、「自分はできる(と思っている)」けれど、「失敗するのが怖い」というアンバランスな心の状態になることがあります。
ギャップに悩む子どもたち
実際に、「自尊感情」は高いのに「自己肯定感」が低い子供は少なくありません。私自身、多くの子供たちがこのギャップに悩んでいると感じています。とくに、教育熱心な家庭の子どもほど、この傾向が強いように思われます。
今後の記事では、「自己肯定感」と「自尊感情」について、さらに詳しく掘り下げていきたいと思います。
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