小学校で行われる算数のテスト、特に低学年〜中学年にかけての“業者テスト”は、平均点が85点前後になるように作られています。つまり、ほとんどの問題は子供たちが解けて当たり前の内容で、「点数を分けるのは”理解の差”ではなく、”ミスをしたかどうか”」という構造になっています。
この仕組みの中で、大人がつい言いたくなるのが「ミスしないようにね」という声かけです。しかし、このアプローチだけでは本当の「計算力」は育ちません。その理由は、学校のテストがもつ独特の形式にあります。
まず、学校のテストには時間がたっぷりあるという特徴があります。先生は、目の前に「もう少しで終わりそうな子供がいれば、終わるまで基本的に回収しません。解き終わっていない子が多ければ、全員が待つことになります。そのため、ゆっくり解いても問題なく、計算スピードが評価される場面がほとんどありません。
一方で、計算が速い子にとっては、テストが長く感じられることも多くあります。学校によっては「終わったら前に出して提出していいよ」「静かに本を読んで待っていてね」という運用も一般的に見られます。つまり、早く終わらせれば“ごほうびの自由時間”が手に入る仕組みになっているのです。
そうなると、子供たちは「早く終わらせたい」という気持ちが強くなり、結果として計算が雑になるリスクが高まります。見直しについて尋ねても、「出しちゃったからできなかった」「見たよー」と言いつつ実態はほとんどチェックできていない――というのはよくある光景です。
さらに問題なのは、学校では“すらすら”を求められる場面が非常に少ないという点です。2年生の九九だけはスピードを求められますが、その後は「速さ」を評価されることがほとんどありません。そのため、目的意識を持ってスピードと正確さを鍛える機会が十分に用意されていないのです。
このように、学校のテスト形式そのものが、計算力(=速さ×正確さ)を育てるには不向きな構造になっています。子供たちはミスだけを意識してしまい、本質的に必要な「スピード感」を身につけるきっかけを失いやすいのです。
次回は、では一体“算数の得意な子”たちはどのように計算力を身につけているのか。その共通点について深掘りしていきます。どうぞお楽しみに。

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