私が小学校の教員だった頃、受験を考える家庭と関わる機会がありました。

その中で強く感じたのは、受験そのものではなく、受験を取り巻く「文化」の存在です。

受験に向かう家庭の中には、

「今のままで大丈夫だろうか」

「もっと何かしなければいけないのではないか」

「周りに遅れているのではないか」

そんな不安を抱えながら日々を過ごしている方もいました。

もちろん、受験そのものが悪いわけではありません。

むしろ私は、受験には大きな価値があると思っています。

学校について深く調べたり、子供のことを改めて考えたりする機会になるからです。

だからこそ私は、受験を必要以上に特別なものにしたり、不安を煽ったりするのではなく、子供と保護者が前向きに取り組める文化があってもよいのではないか、と考えるようになりました。

その思いは、塾を始めた今も変わっていません。

そして、文化を考えるときに私が気になるのが「言葉」です。

受験に関わる学校や塾では、「ペーパー」という言葉をよく耳にします。

小学校受験でも、中学校受験でも、よく使われる言葉です。

もちろん、意味はわかります。

筆記試験のことです。

けれど、FUYUNOではあまり使いません。

私はできるだけ「筆記試験」という言葉を使うようにしています。

理由はとても単純です。

その方が、多くの人と同じイメージを共有しやすいと思うからです。

「ペーパー」という言葉は、受験に慣れている人には当たり前の言葉です。

しかし、初めて受験を考える家庭にとってはどうでしょうか。

受験文化の中にいる人には自然な言葉でも、その文化の外にいる人には少し分かりづらいことがあります。

私は、すでに受験を知っている人だけに向けて発信したいわけではありません。

これから受験を考える人。

少し興味がある人。

まだ受験をするかどうか迷っている人。

そうした方とも、同じ言葉で考えたいと思っています。

言葉は思考を支える道具です。

だからこそ私は、できるだけ公的で、多くの人に共有されやすい言葉を選びたいのです。

もちろん、「ペーパー」という言葉が間違っていると言いたいわけではありません。

実際、多くの学校や塾で使われていますし、便利な言葉でもあります。

ただ私は、

受験文化の中にいる人だけが分かる言葉ではなく、

より多くの人と考えを共有できる言葉を選びたい。

そう考えています。

それもまた、私が目指したい受験文化の一つの形なのです。


次回予告

実は、私が少し距離を置いている言葉は「ペーパー」だけではありません。

検索では使うけれど、自分の言葉としては少し違和感のある言葉があります。

それが「お受験」です。

次回は、私が「お受験」と必ず鍵かっこ付きで書く理由についてお話ししたいと思います。


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