今回は「自己肯定感」を高める、当塾の具体的なかかわり方について考えてみます。
よくあるかかわり例
自己肯定感を高めるために…というよりも、普段のかかわりの中で、「ケアレスミス」をしないように一生懸命になるというのは、低学年~中学年にかけてありがちです。
この時期のテストは、基本的に難しい内容がないので、点を落とすとしたら「ミス」によるものが多いです。時間も十分あるので、最後までできなかったということも少ないです。
ただ、「『ケアレスミス』というミスはない」という言葉があるぐらい、実はちゃんとした原因があるものがほとんどです。「計算ミス」は、かけ算のスピード不足が原因ではないか、九九の7の段が不安定なのではないか、字の大きさが不安定で枠をそろえて書けないからではないか…。ミスに対して細かな気付きができるかが、プロのスキルだと思います。
結果として、ミスを減らそうというかかわり方が増えます。逆に言えばミスを責めてしまうかかわりになります。そうなると、「失敗をしないために…」が学習の主目的に移っていきます。
このかかわりが、子供が「できた」時のみ成果を感じる「自尊感情」を育て、「できなかった」時を忌避するマインドを作ってしまっていると考えます。失敗を恐れ、ミスを受け止められない(自己肯定感の低い)子供は、ケアレスミスへの対処によって生まれているように思うのです。
FUYUNOではどうかかわるか
1. ミスは分析し、子供と共有する
ミスをただの失敗として終わらせず、「なぜ間違えたのか」を子供自身と言語化して共有することを徹底しています。指導者は、子供が自分の言葉で原因を説明できるようにサポートします。
2. 分析の習慣をつける
ミスを「ケアレスミス」として片付けず、「行動の変容につなげる」ことをゴールとします。分析したあとは、再テストや類題で行動としての改善が見られるかをチェックします。
3. 指導が必要な場面
分析して理解した内容が行動として現れなかったとき、本格的な指導を行います。
例:
- 26×17 の計算で「6×7」でミス →「6×7は覚える」と確認
- しかし、次に37×26で同様のミスを繰り返す
この場合、「理解しているのに行動に移せていない=学習が成立していない」と見なします。
4. 学習とは「行動の変容」である
学習とは単なる理解ではなく、「比較的永続的な行動の変容」です。理解だけでは学習とは呼べず、ミスを繰り返す子供は、実質的に学習できていない状態と言えます。
5. 失敗にどう向き合うかが成長のカギ
重要なのは、「失敗しないこと」ではなく、「失敗を踏まえて変わろうとすること」。「ケアレスミスだから大丈夫」と自分を甘やかすマインドでは、学習は進みません。高すぎる自尊感情を持つ子供は、現状維持に甘んじ、変わろうとしないことがあります。
6. 変容のプロセス:「認知」→「行動」
変容はまず気付き=認知の変化から始まります。
- 「気付き」を与える
- 「理解」につなげる
- そして「行動の改善」が起こる
このプロセスを重視しています。
7. 厳しい指導の意味
以下の行動には、意図的に厳しい指導を行います:
- 「できていないのにできていると言う」
- 「ミスを周りに気付かれないよう直す」
- 「取り組んでいることを手で隠す」
- 「ただのミスだと済ませる」
これらの「嘘・ごまかし」に対する指導は、自己肯定感を下げるものではなく、過大な自尊感情を適正に見直すためのものです。本当の意味で「失敗しても大丈夫」と思えるようになるには、「できない自分」と正面から向き合う経験が必要です。
このような考えの下、子供の「自己肯定感」を高めようと考えています。
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