小学校受験を考え始めたとき、多くの保護者が最初に直面するのが「何から始めればいいの?」という疑問です。面接や行動観察など、受験にはさまざまな要素がありますが、最も基本となるのが「ペーパー試験」への対応力です。そして、その力を育てる第一歩が、幼児期からのプリント学習です。
実は、小学校受験においてプリント試験(いわゆるペーパー)は、他の試験項目に比べて配点の割合が50%を超えることは少ないと言われています。しかし、得点差が最も大きく出やすいのもこのプリント試験です。つまり、ここでしっかり点が取れるかどうかが、合否を大きく左右するのです。逆に言えば、他の項目で多少の差があっても、プリントで安定して得点できれば、合格に大きく近づくということでもあります。
プリント学習は、単に問題を解く練習ではありません。子どもが紙と鉛筆を使って考え、手を動かし、答えを導き出すという一連の流れは、集中力・作業力・理解力といった受験に必要な力を自然に育ててくれます。特に、初めての受験である小学校受験では、「机に向かう習慣」があるかどうかが大きな差になります。
とはいえ、幼児にとって「勉強」はまだ未知の世界。いきなり難しい問題を与えても、興味を持てずに終わってしまうこともあります。だからこそ、最初は「遊び感覚」で始めることが大切です。線をなぞる、シールを貼る、色を塗る――こうした活動も立派なプリント学習の一部です。楽しみながら取り組むことで、「やってみたい!」という気持ちが育ち、自然と学習習慣が身についていきます。
また、プリント学習は親子のコミュニケーションにもつながります。「すごいね!」「よくできたね!」と声をかけることで、子どもは自信を持ち、次への意欲につながります。結果よりも「取り組んだこと」を褒める姿勢が、長く続ける秘訣です。
小学校受験は、親子で取り組む長いプロジェクトです。そのスタートとして、プリント学習は最も身近で、効果的な方法のひとつ。次回(【第2回】発達の段階に応じたプリント学習の取り組み方)では、発達別にどんなプリントを使えばよいか、具体的な取り組み方をご紹介します。
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