🟠第3回：「怒らない」は“諦め”か“距離”か？

「怒らない子育て」という言葉には、優しさや寛容さといったイメージがつきまといます。けれども、その姿勢が時に“諦め”や“距離”につながってしまうこともあるのではないでしょうか。

子供に対して怒らないようにしようとするあまり、「仕方ない」「言っても無駄」と感じてしまうことはありませんか？それは、子供に期待する気持ちが薄れてしまっている状態とも言えます。期待しないということは、関わらないということ。それは、親子の間に見えない距離を生む可能性があります。

怒りという感情は、相手に対して「こうあってほしい」という願いがあるからこそ生まれるものです。つまり、怒るということは、子供に対して真剣に向き合っている証でもあります。もちろん、怒り方には工夫が必要ですし、感情をぶつけるだけでは伝わりません。でも、怒りを感じること自体は、愛情の一つのかたちなのです。

愛情とは、相手を「自分と同じように感じる存在」として見ることから始まります。だからこそ、違う行動や価値観に対して、驚きや戸惑い、そして怒りが生まれるのです。もし、怒りを一切感じないとしたら、それは相手を「別の存在」として切り離している状態かもしれません。

「怒らない子育て」が目指すものは、穏やかな関係かもしれません。でも、その穏やかさが、関係性の希薄さにつながってしまうこともあるのです。怒ることも、怒らないことも、どちらも子供との関係を築くための手段。大切なのは、どんな感情も「伝えるための工夫」を忘れないことだと思います。

次回予告

最終回では、怒りを教育に活かすための具体的な視点と、親としての覚悟について考えていきます。