この記事は小学校受験の「保護者面接」について、小学校受験に係る書籍や、過去の受験経験者の話を基に、学校側の事情を推測しようというものの2つ目の記事です。
(1)では、学校は保護者面接を重視していること、しかし、それにかけられる時間や人員に限界があるという「ジレンマ」があることについて書きました。さて、
面接時間は、(①1日の面接時間)×(②面接会場数)×(③面接日数)で確保できます。
引用:受験者数から予想する「保護者面接」の事情(1)
以上を踏まえた上で、100家庭分の現実的な面接の行い方は、大きく分けると2つパターンに大別できます。
1.(6時間/1日)×(6会場)×(1日)
2.(5時間/1日)×(2会場)×(4日)
1.は、とにかく短時間で不公平感がなく終えることを重視した日程です。1日で終えるので、(保護者間の情報交換を遮断させるなどして)情報の行き来はほとんどなくなります。ただし、6会場ということは、面接官は12人必要になります。専門家を雇うにも「小学校受験の面接専門家」って、あまり居なそうです。となると、一般の先生が面接も行うということで、学校が休みの期間(土・日)が面接日となる特徴もあります。
2.は、校長・教頭などの管理職、学校運営についてより責任がある人が面接をする日程です。同じ人が評価をする割合が高いので、面接官による評価のばらつきが、とても少ないです。一方で、面接日数が1週間かけて行われるので、質問内容は保護者間である程度共有されることが前提です。そのため、学校側は「用意された問いに答える能力」ではなく、「家庭・子供」に係る個性・特色を尋ねる質問になりやすいと考えられます。
どちらのパターンでも、保護者面接で聞かれる内容は、「志望動機を詳しく」「お子さんの長所・短所」「幼稚園等でのエピソード」「家庭内でのエピソード」などで、答えそのものが重要ではないことが多いようです。ここで言いたいのは、最近の傾向として、学校は「事前に質問事項を知られることは、それほど大事(おおごと)ではない」と捉えていると考えられます。(※時事ネタが一切面接の話題にならないという意味ではないです。)
では、何を大事に見ているのかは、近々別記事で上げます。そして、その対策方法もセットにして、ご紹介したいと思います。
<オマケ2>「くじ引き」「足切り」を問題ととらえる考え方は、「成績が良い子を合格にすべき」という価値観から来ています。しかし、そのシステムを導入している学校の多くは、「附属学校」や「市立学校」、つまり公立学校です。試験・検査を行い、その結果で上位者に合格者を出すやり方は、文部科学省から「附属学校などが、本来のねらいから外れ、エリート育成の場となっている」と、問題として継続的に指摘されています。文部科学省の趣旨によれば、そもそも「全員くじ引きで問題ない」「一般公立と児童の学力等に差があっては設置目的に合わない」というスタイルです。とはいえ、学校の実態や、地域の保護者が求める学校像、学校運営レベルで言えば…実際のところエリート育成という側面があるのも事実。そのジレンマが、今回の面接に使うことができる時間・人員の問題も相まって、「くじ引き」「足切り」という苦肉の策となっていると言えると考えます。逆に、私立学校の入試制度は「優秀者選抜」という意味で、非常にシンプルです。やっとその選択肢が北海道でも進みつつあります。その価値観が合う人は、そちらの受験に進むのがよりよいのだと思います。
<オマケ3>今回は意図的に書きませんでしたが、どんな方法で面接を行っても、問題は出てきます。人によっては「致命的」と捉えられかねないようなものです。双方の例を挙げれば、「評価基準はあっても、どうしても評価が面接官次第な部分ができる」「会場を減らすと情報が密室化して、学校の恣意的な操作がしやすくなってしまう」などです。学校はそれらを、日程やスタッフ数、コストなどを天秤にかけながら、ベストの方法を探って形式を決めているのだと思います。
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