6-2 「個性」は、協同的な関係の中で育つ

「個性を大事にしたい」と聞くと、
どこかで「自分らしく、自由に振る舞うこと」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
そのため、学校が協同や集団性を重視していると、
「個性と協同は相反するものなのでは?」
と感じてしまうことがあります。

しかし、実際にはこの二つは対立する関係ではありません。
むしろ、個性が育つためには、協同的な関係が不可欠です。

たとえば、子どもが自分の好きなことに一生懸命取り組んでいたとしても、
周囲がまったく関心を示さなかったり、
時に否定的な反応ばかりが返ってくる環境では、どうなるでしょうか。

「これをやっても意味がないのかもしれない」
「言っても分かってもらえない」

そうした思いが重なれば、
好きなことに打ち込もうとする気持ちは、次第に小さくなっていきます。

反対に、
「そこがすごいね」
「そんな考え方があるんだね」
と受け止めてもらえる場所では、
子どもは安心して自分らしさを表現することができます。

個性とは、
一人で黙々と磨かれるものではなく、
人との関わりの中で、ゆっくりと輪郭を持っていくものなのです。

ここで重要になるのが、協同的な関係性です。
自分のよさを主張できることと同時に、
他者のよさを認め、尊重できる空気があること。
この両方がそろって、はじめて個性は健やかに育ちます。

学校がまず重視しているのは、
強い自己主張そのものではなく、
集団の中で関係を築こうとする姿勢です。

なぜなら、その姿勢があれば、
学校生活の中でさまざまな刺激を受け、
結果として個性が豊かに育っていくからです。

個性を伸ばすために、
最初から個性を前に出す必要はありません。
まずは、人と一緒に学び合えること。
その土台があるからこそ、
「その子らしさ」が後から自然に立ち上がってくるのです。

小学校受験で協同性が重視される背景には、
こうした長い成長のプロセスが見据えられています。

次回は、
なぜ特に初等教育において
「話を聞ける子」「聞き分けのよい子」が選ばれやすいのかを、
もう一歩踏み込んで考えていきます。


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