「個性を大事にしたい」と聞くと、
どこかで「自分らしく、自由に振る舞うこと」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
そのため、学校が協同や集団性を重視していると、
「個性と協同は相反するものなのでは?」
と感じてしまうことがあります。
しかし、実際にはこの二つは対立する関係ではありません。
むしろ、個性が育つためには、協同的な関係が不可欠です。
たとえば、子どもが自分の好きなことに一生懸命取り組んでいたとしても、
周囲がまったく関心を示さなかったり、
時に否定的な反応ばかりが返ってくる環境では、どうなるでしょうか。
「これをやっても意味がないのかもしれない」
「言っても分かってもらえない」
そうした思いが重なれば、
好きなことに打ち込もうとする気持ちは、次第に小さくなっていきます。
反対に、
「そこがすごいね」
「そんな考え方があるんだね」
と受け止めてもらえる場所では、
子どもは安心して自分らしさを表現することができます。
個性とは、
一人で黙々と磨かれるものではなく、
人との関わりの中で、ゆっくりと輪郭を持っていくものなのです。
ここで重要になるのが、協同的な関係性です。
自分のよさを主張できることと同時に、
他者のよさを認め、尊重できる空気があること。
この両方がそろって、はじめて個性は健やかに育ちます。
学校がまず重視しているのは、
強い自己主張そのものではなく、
集団の中で関係を築こうとする姿勢です。
なぜなら、その姿勢があれば、
学校生活の中でさまざまな刺激を受け、
結果として個性が豊かに育っていくからです。
個性を伸ばすために、
最初から個性を前に出す必要はありません。
まずは、人と一緒に学び合えること。
その土台があるからこそ、
「その子らしさ」が後から自然に立ち上がってくるのです。
小学校受験で協同性が重視される背景には、
こうした長い成長のプロセスが見据えられています。
次回は、
なぜ特に初等教育において
「話を聞ける子」「聞き分けのよい子」が選ばれやすいのかを、
もう一歩踏み込んで考えていきます。

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