中学校で学ぶ英単語の数は、私たちが子供だった頃より大きく増えています。
それなのに、教育について語るときには「思考力の時代になった」「昔のような暗記は不要になった」という話を耳にすることがあります。
私は、この二つの話が少し結び付かないように感じています。
もし暗記が不要になっているのであれば、覚える量も減っていくはずです。しかし実際には、子供たちは今も多くの知識を身に付けることを求められています。
では、何が変わったのでしょうか。
私は、知識の価値が下がったわけではないと思っています。
ただ、知識そのものを評価するだけでなく、その知識をどう使うかまで見られるようになったのです。
一方で、「まず知識を覚えて、その後に思考力を育てる」という考え方にも少し違和感があります。
学びはそんなにきれいな順番では進まないからです。
例えば、ある現象について疑問を持つとします。
すると、その理由を知りたくなります。
知識を得ることで考えが広がります。
そして考えているうちに、また新しい知識が必要になります。
学びの現場では、この繰り返しが常に起きています。
知識を得ることと考えることは、別々の活動ではありません。
お互いを支え合いながら進んでいくものです。
だから私は、「暗記の時代が終わった」とも、「まず暗記が大事だ」とも思いません。
知識と思考は対立するものではないからです。
覚えることで考えが深まり、考えることでさらに学びたくなる。
そんな循環こそが、本来の学びの姿なのではないでしょうか。
シリーズまとめ
このシリーズでは、
- 丸暗記と理解は違うこと
- 昔の優秀な人たちも知識を関連付けながら学んでいたこと
- 暗記量そのものは今も重要であること
について考えてきました。
私は、「暗記か思考力か」という議論そのものに少し違和感があります。
知識を得ることで考えは広がります。
考えることで新しい知識が必要になります。
そして、その知識がさらに新しい思考を生み出します。
学びとは、知識と思考が互いに影響し合いながら成長していく営みです。
だから大切なのは、どちらかを選ぶことではありません。
知識と向き合い、考え、また学ぶ。
その繰り返しの中で、本当の学力は育っていくのだと思います。

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