算数の問題で、

千の位までのがい数で表すと9500になる数は、いくつ以上いくつ未満ですか。

という問題があります。

この問題、高学年になると意外なほど正答率が下がります。

ところが、同じ子に

9481を千の位までのがい数にしなさい。

9523を千の位までのがい数にしなさい。

と聞くと、正しく答えられることが少なくありません。

四捨五入のやり方は知っているのです。

それなのに、なぜ先ほどの問題になると急に難しくなるのでしょうか。

理由は単純です。

必要な力が変わるからです。

先ほどの問題は、

「四捨五入のやり方を知っているか」

を問う問題です。

一方で、

「9500になる数の範囲を求める問題」

では、

  • 9500とは何を表しているのか
  • どこで四捨五入が行われたのか
  • 境目はどこなのか

を考えなければなりません。

つまり、四捨五入の処理そのものではなく、四捨五入の意味を理解しているかが問われているのです。

実は、このようなことは四捨五入に限りません。

前回お話したかけ算も同じです。

かけ算を九九として覚えるだけなのか。

それとも、

「1つあたりの量×いくつ分」

という意味まで理解しているのか。

その違いは、高学年になるにつれて大きくなっていきます。

割合も同じです。

割合の問題でつまずく子どもの中には、計算方法を知らないわけではない子もたくさんいます。

問題は、

  • この数は何を表しているのか
  • 何を求めたいのか
  • なぜかけるのか
  • なぜわるのか

を考える習慣が十分に育っていないことです。

低学年のうちは、やり方を覚えることで乗り切れる場面もあります。

しかし、高学年になると、

「どのやり方を使うのか」

を自分で判断しなければなりません。

中学受験の問題では、その傾向がさらに強くなります。

だからこそ、算数で本当に大切なのは解法を増やすことだけではありません。

この数は何を表しているのか。

この計算で何を求めようとしているのか。

そんなことを考えながら学ぶ習慣です。

高学年で算数が苦しくなったとき、難しい問題集を増やすことが解決になるとは限りません。

ときには低学年の内容に戻り、

「そういえば、かけ算にはこんな意味があったな」

「四捨五入はこういう考え方だったな」

と学び直すことが、遠回りのようで一番の近道になることもあります。

算数は、覚えた知識の量を競う教科ではありません。

学んだ意味を積み重ねていく教科なのです。


シリーズまとめ

高学年で算数が苦しくなる「低学年の学び方」

  • 高学年で差が広がる原因は、高学年だけにあるわけではない
  • かけ算は九九の暗記ではなく、意味を学ぶ学習である
  • 四捨五入や割合でも、求められるのは意味を考える力である

低学年のうちから、

「何を求めているのか」

を考える習慣が、高学年の算数を支えていきます。


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