遊びと学びは切り離せない:③遊びの時間を守る、学びの質を高める

小学校高学年になると、受験や成績への意識が高まり、「遊びの時間を減らして、もっと勉強を」と考える保護者や教育関係者も少なくありません。確かに、問題をたくさん解くことは、受験対策として必要な場面もあります。その時間を捻出するために、遊びを削るという選択は、現実的な判断とも言えます。

しかし、忘れてはならないのは、遊びが子供の心を満たす大切な機会であるということです。遊びの中で子供は、自分の意思で行動し、結果を体験し、そこから自分を評価する力を育てていきます。主体的にかかわる喜び、自分の行動によって変化が生まれる効力感、そして行動に対する自己評価——これらが満たされることで、子供の心は安定し、学びへの意欲も育まれていくのです。

このような機会を奪うことなく、遊びの時間を保証することは、一つの大切な方向性です。もう一つの方向性は、学びの場面そのものが、遊びのように子供の心を満たす体験になることです。つまり、学習の中でも、子供が主体的に取り組み、達成感を得られるような工夫があれば、遊びと同じような心理的充足が得られるのです。

遊びの時間を守ることと、学びの質を高めることは、どちらかを選ぶものではなく、両立できるものです。子供の心に寄り添いながら、学びの場面でも「遊びのような充足感」を感じられるような関わりを、大人が意識していくことが、これからの教育にとって大切な視点となるでしょう。

次の記事では、「遊びが学びを深める」という視点で、テストの点にもつながる力を育てるかかわり方について書いています。


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