🪴才能を伸ばす環境と集団で育つ力（3/3）

自由な環境なら、うちの子はきっと伸びる。
そう思って受験を決めたものの、実際には「夢中になりすぎて周りが見えなくなる」タイプの子が、受験で苦労することがあります。自由な教室に見えても、そこには「自律的に行動できること」が前提として求められているからです。

自分の世界に入り込みやすい子や、得意なことに集中すると周囲の声が届かなくなる子にとって、集団の中での行動は難しい場面もあります。そうした子どもにとって、最も力を発揮できるのは、少人数指導や家庭教師のような個別対応の環境です。周囲に気を取られず、自分のペースで学べるからこそ、才能がのびのびと育ちます。

一方で、学校という場は「集団の中で育つ力」を学ぶ場所です。
先生が30人以上の子どもを同時に見る中で、すべての個性に合わせた対応をするのは現実的ではありません。だからこそ、子ども同士が互いに育ち合える環境づくりが大切になります。先生はその土台を整え、子どもたちが自分たちで学び合えるように導いていくのです。

そのためには、子ども自身が「周囲の手助けを最大限に生かす力」を持っていることが必要です。
自分の気持ちを言葉で伝える。友達と協力する。指示を聞いて行動する。こうした力は、才能を伸ばすための「土台」であり、集団の中で生きる力でもあります。

受験を通して見えてくるのは、「才能があるからこそ、集団の中で育つ力が必要だ」ということ。
自由な環境で力を発揮するためには、自律的な行動ができることが前提です。言葉遣いや友達との関わり方などは、すぐに身につくものではありません。時間をかけて育てていく必要があります。