ここまで、「正しいことを言っているのに、なぜかうまくいかない」という違和感と、そのズレの正体を見てきました。

第3回では、その前提そのものを少し見直してみます。

「こっちの方がいいよ」と伝えたくなる背景には、
「答えには最善の一つがあり、それを早く知ることが大切だ」という考え方があります。

もちろん、それ自体は間違いではありません。
効率よく進むために、より良い方法を知ることは大切です。

ただ、学習という視点で見ると、少し違う見え方もあります。

今その場での「最適な解き方」と、
その子にとっての「適切な学び方」は、必ずしも一致しません。

一見すると非効率に見えるやり方でも、
発達の段階に合った思考のプロセスであることもあります。

あるいは、その後に学ぶ内容と比較するために、あえてその方法で経験していることもあります。

大人はすでに学習を終えているので、
どうしても「最短でたどり着いた答え」を基準に見てしまいます。

けれど、学びは点ではなく、長い時間の積み重ねの中でつくられていくものです。

そう考えると、関わり方も少し変わってきます。

まず、「どう考えたのか」を聞いてみること。
その上で、自分の考えている方法や知識も、いったん吟味してみること。

本当に今、その方法を伝えることがその子のためになるのか。
その視点で考え直すだけでも、やり取りは変わります。

また、迷ったときには、学校や塾に聞いてみることも大切です。

その際は、
「私はこう考えているけれど、どうでしょうか」
という形で対話をすることが重要です。

正しいかどうかだけで判断せず、
その背景にある学びの流れに思いを馳せる。

それが、「こっちの方がいいよ」の落とし穴から少し抜け出すきっかけになるかもしれません。


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