テストの結果を見ていて、
「この問題、家ではできていたのに」
と思ったことはないでしょうか。
塾でも、答えを聞くとしっかり説明できるのに、テストになるとなかなか点数につながらない子がいます。
もちろん、理解不足が原因の場合もあります。しかし最近、私は別の原因にも注目するようになりました。
それが「書く力」です。
ただし、ここでいう「書く力」は、学習指導要領で扱われる広い意味のものではありません。
本来、「書く力」には、文章を読み取ることや、自分の考えを整理すること、相手に伝わるように表現することなども含まれます。
今回のシリーズで扱いたいのは、その土台となるもっとシンプルな力です。
それは、「頭に浮かんだことを紙に書き出す力」です。
例えば、
答えはわかっているのに、書いている途中で時間がなくなってしまう。
考えはまとまっているのに、文字にするのに時間がかかる。
途中式を書いているうちに焦ってしまい、本来の力を発揮できない。
そんな姿を見かけることがあります。
特に最近の入試では、選択肢を選ぶだけではなく、
「なぜそう考えたのか」 「理由を説明しなさい」
という問題が増えています。
頭の中で考えているだけでは評価されません。
考えたことを、式や図や文章として表現して初めて、相手に伝わります。
だからこそ、
「わかる」と「書ける」は少し違う力
なのです。
実際、「もっときれいに書こう」 「間違えたくない」
と意識しすぎて、手が止まってしまう子や、
字を書くことに苦手意識があって、書くのが遅い子もいます。
すると、本当は解ける問題まで時間切れになってしまいます。
保護者の方から、
「うちの子は考える力が足りないのでしょうか」
と相談を受けることがあります。
しかし、答案をよく見ると、考える力ではなく、書くことへの慣れや速度が課題になっている場合も少なくありません。
だから私は最近、
「この子は理解できていないのだろうか」
だけでなく、
「この子は書けているだろうか」
という視点でも答案を見るようになりました。
学力を考えるとき、私たちはどうしても知識や思考力に目が向きます。
もちろん、それらはとても大切です。
しかし、それらを十分に発揮するためには、考えたことを紙の上に表現する力も欠かせません。
このシリーズでは、そんな「書く力」に注目しながら、学びとの関係について考えていきたいと思います。
次回は、書く速度や書く習慣が、どのようにテストの結果へ影響しているのかを考えてみます。

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