「百ます計算は意味があるのでしょうか?」

保護者の方から、ときどきそんな質問を受けます。

確かに、計算練習と聞くと、

「今はアプリもあるし、わざわざ紙でやらなくてもいいのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

実際、計算の答えを覚えるという点では、アプリにも大きな価値があります。

しかし私は最近、百ます計算には別の効果もあるのではないかと考えています。

それは、「思い付いた答えを、素早く紙に書く練習になる」

ということです。

例えば九九アプリなら、

問題を見る → 答えを思い出す → 画面をタップする

で終わります。

一方、百ます計算では、

問題を見る → 答えを思い出す → 数字を書く

 →次の問題へ進む

という流れになります。

違いは小さく見えるかもしれません。

しかし、テストで必要になるのは後者です。

算数では、答えを思い付くだけでは得点になりません。

数字を書く。

式を書く。

途中計算を書く。

そして答えを書く。

頭の中の考えを紙の上に表現して、はじめて得点になります。

私は前回の記事で、

「理解する力」と「書き切る力」は同じではない

という話を書きました。

百ます計算は、その「書き切る力」の土台をつくる練習にもなっているように感じます。

もちろん、百ます計算だけで学力が伸びるわけではありません。

難しい文章が読めるようになるわけでもありませんし、思考力そのものが育つわけでもありません。

それでも、

数字を書く。

手を動かし続ける。

見た瞬間に表現する。

そんな経験を積み重ねることには意味があります。

実際、能力はあるのに答案が終わらない子を見ていると、

計算よりも、

「書くこと」

に時間を使っている場合があります。

だから私は、百ます計算を単なる計算練習としてだけではなく、

書く力を支える基礎練習

として見るようになりました。

学力というと、つい難しい問題に目が向きます。

しかし、その土台には「素早く書けること」という、意外と見落とされがちな力があるのかもしれません。

次回は、もう一つの「書く力」のトレーニングとして、要約について考えてみます。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です