前回は、筆記試験で学校が見ているものについてお話ししました。
知識の量そのものではなく、その知識や考え方がどのような経験の中で育まれてきたのか。学校はその背景にも目を向けているというお話でした。
では、集団行動や面接では何を見ているのでしょうか。
受験を考えているご家庭から、
「姿勢は大丈夫でしょうか」
「元気よく挨拶できるようにした方がいいですよね」
「笑顔で参加できるよう練習した方がいいですか」
という相談をいただくことがあります。
もちろん、それらも大切なことです。
しかし、学校が評価の中心として見ているのは、実はそこではありません。
学校生活は、一人で学ぶ場所ではありません。
友達と一緒に学び、一緒に遊び、一緒に成長していく場所です。
そのため学校は、
「この子は周りの子供たちと安心して学び合えるだろうか」
ということを見ています。
自分の意見を言えることは大切です。
好奇心があることも素晴らしいことです。
しかし、それだけでは学校生活は成り立ちません。
相手の話を聞く。
順番を待つ。
約束を守る。
必要な場面で自分の行動を調整する。
そうした力も同じように大切です。
私はこれを時々、
「エンジン」と「ブレーキ」
に例えてお話ししています。
好奇心や主体性はエンジンです。
一方で、人の話を聞いたり、自分をコントロールしたりする力はブレーキです。
学校は子供たちのエンジンを伸ばしたいと思っています。
しかし、ブレーキがなければ安心して挑戦することができません。
だから集団行動では、
「目立つ子かどうか」
ではなく、
「集団の中で安心して過ごせるかどうか」
が見られているのです。
保護者面接も似ています。
面接というと、正しい答えを探してしまう方が少なくありません。
ですが、学校には模範解答はありません。
学校が知りたいのは、
「この学校をどれだけ理解してくださっているだろうか」
ということです。
学校説明会で何を感じたのか。
学校公開でどんな姿が印象に残ったのか。
どのような教育に共感したのか。
そうしたことを通して、
学校と家庭が同じ方向を向いて子供を育てていけるかを確かめています。
学校教育は学校だけで行うものではありません。
家庭だけで行うものでもありません。
子供を中心に、学校と家庭が協力しながら作り上げていくものです。
だから面接も、
上手に答えられたかどうかより、
「良いパートナーになれそうか」
という視点で見られていることが多いのです。
子供の言葉遣いも同じです。
塾で「物をもらったらありがとうと言おうね」と伝えると、すぐに自然にできる子もいれば、なかなか定着しない子もいます。
それは能力の差というより、普段からどのような環境で育ってきたかの違いかもしれません。
家庭や園で自然に交わされている言葉は、試験の場面でも自然に表れます。
学校が見ているのは、上手な受け答えそのものではなく、その子がどのような関わりの中で育ってきたのかという部分なのだと思います。
行動観察では子供の姿を見ています。
保護者面接では家庭の姿を見ています。
しかし学校が知りたいことは共通しています。
「この子は友達と学び合えるだろうか」
「この家庭は学校と協力しながら子供を育てていけるだろうか」
そのことを確かめるために、集団行動や面接という場があるのです。
次回は、この二回の内容を踏まえながら、
「本当の受験対策とは何か」
について考えてみたいと思います。学校が見ているものが分かると、受験準備の考え方も少し変わってくるかもしれません。

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