「鉛筆折れた!」

ある日の夕方、塾で宿題をしていた2年生が突然そう言いました。

私はすぐに立ち上がって、新しい鉛筆を取り出します。
「はい、これ使って」

そんなやりとり、多くの家庭でも日常的に起きていると思います。

でも、ふと考えてみると、「鉛筆折れた!」って、何を伝えたい言葉だったのでしょうか。

鉛筆が折れたという“事実”はわかります。でも、そのあとに続くはずの「だからどうしてほしい」が、言葉になっていないことが多いのです。

「新しい鉛筆を貸してほしい」「削ってほしい」「どうしたらいいか教えてほしい」——本当は、そんな“お願い”や“気持ち”があるはずなのに、それが言葉にならないまま、大人が察して動いてしまう。

子供にとっては、「言わなくてもわかってもらえる」安心感があるかもしれません。
でもその一方で、「言葉にする力」が育ちにくくなるという側面もあります。

国語の力は、単に漢字や読解だけではありません。
自分の思いを言葉にして、相手に伝える力——それこそが、国語の土台です。

「鉛筆折れた!」の一言の裏にある気持ちを、子供自身が言葉にできるようになること。
それが、国語力の第一歩なのかもしれません。

次回は、「言葉にするってどういうこと?」をテーマに、主語や目的語、気持ちやお願いを言語化する力について掘り下げてみたいと思います。


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