子どもが不満を口にするとき、その言葉の背景には、親との関係性が深く関わっています。学校での出来事や友達とのやりとりがきっかけになることもありますが、それをどう話すか、どこまで話すかは、家庭での安心感によって大きく左右されます。
たとえば、親がすぐに「それは先生が悪い」「友達がひどい」と反応すると、子どもは「そう言えば親が動いてくれる」と学びます。それが続くと、子どもは自分の感情を整理する前に、誰かに責任を求めるようになってしまうこともあります。
もちろん、子どもを守ることは親の大切な役割です。でも、守ることと代わりに戦うことは違います。親が冷静に話を聞き、「それはつらかったね」「どうしたらよかったと思う?」と問いかけることで、子どもは自分の気持ちを言葉にし、少しずつ整理していく力を育てていきます。
不満を聞くことは、親子の信頼関係を深めるチャンスでもあります。「何を言っても受け止めてもらえる」という安心感があれば、子どもは本音を話すようになります。そして、親がその本音に丁寧に向き合うことで、子どもは「自分の気持ちは大切にされている」と感じるのです。
子どもの不満は、単なる問題ではなく、成長のきっかけです。親が「聞く力」を持つことで、子どもは自分の感情と向き合い、他者との関係を築く力を育てていきます。その土台となるのは、親子の関係性。だからこそ、焦らず、丁寧に、子どもの声に耳を傾けることが何より大切なのです。

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