📐 「合わせてだから足し算？」——処理で解くクセの落とし穴(3/3)

「合わせてって書いてあるから、足し算でしょ？」

低学年のうちは、こうした“キーワード”で計算方法を選ぶ子が多くいます。もちろん、最初のうちはそれで正解になることもあります。でも、学年が上がるにつれて、「なぜその計算になるのか」を考える力が求められるようになります。

たとえば、「りんごが3個、みかんが2個あります。合わせて何個ですか？」という問題なら、足し算でOK。でも、「りんごが合わせて７個あります。お母さんからは３個もらいました。りんごは最初、いくつあったでしょう」という問いに対しても、「合わせてだから10個！」と答えてしまう子がいます。

これは、言葉の意味を理解する前に、処理の型を覚えてしまった状態です。文章題を読んで、内容をイメージする前に、「この言葉が出たらこの計算」と反射的に動いてしまう。これが“処理的な学び”のクセです。

このクセがついたまま高学年になると、問題文の意味を読み取る力が育ちにくくなります。特に割合や速さのように、「何を求めているのか」を読み解く力が必要な単元では、つまずきやすくなります。

算数の文章題が急に難しく感じられるのは、計算が難しくなったからではなく、日本語としての理解が追いつかなくなるからです。つまり、「何を聞かれているのか」がわからなくなるのです。

だからこそ、低学年のうちから「なぜその計算になるのか？」を一緒に考えることが大切です。「どうして足し算にしたの？」「この“合わせて”って、何と何を合わせてるのかな？」と、意味をたどる対話が、思考の土台を育てます。

処理の速さよりも、意味を考える習慣を。
それが、算数の“わかる”を支える力になります。

今回は「合わせてだから…」という教え方を「良くない」ものとして扱いましたが、本当は「正しい『合わせてだからたし算』の教え方」もあります。次回のシリーズで、「合わせてだからたし算」の正しい教え方を解説します。