🧠なぜ“数学（算数）は暗記だ”と言われるのか(1/3)

導入：その言葉に潜む違和感

「数学は暗記だ」――この言葉は、受験界で強いインパクトを持っています。なぜなら、数学といえば「考える力」が問われる科目というイメージがあるからです。では、なぜこうした言葉が生まれ、広まったのでしょうか？

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背景：入試の現実と戦略

この言葉を広めたのは、受験指導で有名な和田秀樹氏。彼は大学受験数学において「暗記」を重視する学習法を提唱しました。その理由は、現代の入試問題の性質にあります。

• 典型的な解法パターンを適切に適用する力が問われる
• 試験時間は限られており、ゼロから考えるよりも既知の解法を素早く使える方が有利

つまり、暗記は「効率的に得点するための戦略」なのです。

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しかし、ここに潜む“前提”

ここで重要なのは、こうした発言をする人は、すでに論理的思考力という強力な前提を持っているということです。論理的思考力がある人は、暗記した公式や定理を自在に組み合わせ、問題を解決できます。だから「暗記すれば解ける」と言えるのです。

でも、その前提が語られないとどうなるでしょう？
「暗記だけで数学ができる」という誤解が広がります。これは、社会一般で見られる「ノウハウ本」や「成功秘話」と同じ構造です。背景やリソースを語らず、方法だけを切り取ることで、誰でもできるように見せる――そこに危うさがあります。

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暗記は悪ではない。でも…

もちろん、暗記は悪ではありません。むしろ、数学を学ぶうえで欠かせない“材料”です。ただし、材料だけでは何も作れません。必要なのは、それを使いこなす“工具”、つまり論理的思考力です。

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次回予告

第2回では、この「暗記と論理の関係」をさらに深掘りします。暗記は材料、論理は工具――この比喩を使って、数学の本質を考えます。