「とにかく褒める」「できているところに目を向ける」。この姿勢は、子供の心を守るうえで大切です。ただ、褒めることを“最優先”にすると、「できないこと」に触れない習慣が生まれます。苦手は避け、得意で勝負する。挑戦は減り、環境が変わると力を出し切れない――そんな姿は、決して珍しくありません。
では逆に、「できないところをしっかり指摘すればいい」のか。もちろん、それだけでは子供のやる気は続きません。できていない現実だけを突きつけると、「どうせ自分は無理だ」という感覚を強めてしまうからです。
大切なのは、「できないこと」を扱う方法です。私たちが目指したいのは、子供が「できなかった自分」と出会い直す経験を持てること。つまり、「今はできるようになった」段階で過去を振り返り、努力の結果としての変化を自分の言葉で確かめられる構造です。
このとき、褒めすぎることは逆効果になり得ます。「完璧」「すごい」を重ねるほど、子供は“いまの自分”に満足し、先へ伸びる意欲を失います。必要なのは、少し背伸びが必要な目標と、がんばれば届くという実感、そして継続できる仕組み。そのうえで、成長した“あと”に過去をていねいに振り返ることです。
肯定感は、「いまの自分を好きでいられる感覚」だけではありません。「自分は努力で変われる」という手応えがあるかどうかです。
この手応えは、他人と比べて生まれるものではなく、過去の自分と今の自分が確かにつながったときに生まれます。褒める/叱らないの先に、「あとから成長を確かめる設計」を。ここから、折れにくい肯定感が育っていきます。

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