幼児のお絵描きや工作を見ていると、不思議な場面に出会うことがあります。

作品が完成した瞬間、子供はまず作品を見るのではなく、大人の顔を見るのです。

「できた!」

そう言いながら見ている先は、紙でもブロックでもありません。

お母さんやお父さん、先生の顔です。

きっとそこには、

「喜んでくれるかな?」

という気持ちがあるのでしょう。

この姿を見ていると、私は時々考えます。

子供は本当に作品を完成させたかったのでしょうか。

それとも、大好きな大人の笑顔が見たかったのでしょうか。

もちろん答えは一つではありません。

両方かもしれません。

ですが、少なくとも幼い子供にとって、大人の笑顔はとても大きな意味を持っています。

このことは、勉強でも同じように感じます。

テストで100点を取ったとき、子供は嬉しそうに答案を見せてくれます。

しかし、そのとき子供が見ているのは、点数だけでしょうか。

もしかすると、

「お母さん、見て!」

「お父さん、喜ぶかな!」

という気持ちも含まれているのかもしれません。

私は幼児教育や受験指導に関わる中で、子供たちが驚くほど大人の反応を見ていることを感じています。

大人が喜べば、子供も嬉しい。

大人ががっかりすれば、子供も不安になる。

それだけ親の存在は大きいのだと思います。

もちろん、子供の頑張りを喜ぶこと自体は悪いことではありません。

むしろ大切なことです。

ただ、ここで一つ考えてみたいのです。

子供は100点そのものが欲しいのでしょうか。

それとも、その先にある親の笑顔が欲しいのでしょうか。

もし後者だとしたら、私たち大人が見ている「やる気」も、少し違って見えてきます。

子供が勉強を頑張る理由は、学ぶことの楽しさだけではないかもしれません。

大好きな人に認めてもらいたい。

喜んでもらいたい。

そんな自然な気持ちが、子供を動かしていることもあるのです。

だからこそ、成績を見るときには点数だけでなく、その奥にある子供の気持ちにも目を向けてみたいと思います。

もしかすると子供は、100点よりもずっと欲しいものを求めているのかもしれません。

それは、大好きな人の笑顔です。


次回予告

「褒めることは大切」とよく言われます。

私もそう思います。

ただ、その褒め方は本当に自己肯定感を育てているのでしょうか。

次回は、「褒める」と「依存」の少し難しい関係について考えてみます。


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