前回の記事では、四・五年生が過去問に挑戦すると手が止まってしまう理由は、“知識不足”ではなく“経験不足”によるものだとお伝えしました。では、この「経験の差」をどのように埋めていけばよいのでしょうか。
その鍵となるのが、入試問題に入る前の『導入の階段』をつくることです。
入試問題は、そのままの形だと情報量が多く、条件も長く、ゴールまでの距離も遠い“最終形”になっています。四・五年生にとっては、文章のどの部分に注目すればいいのかが分からず、結果として最初の一歩が踏み出しにくくなるのです。
たとえば、
「200円のケーキを人数分用意してお店に行きました。140円のケーキがあったので予定より3個多く買えて120円余りました。用意した金額はいくらでしょう。」
というような問題。
四・五年生がこれをいきなり与えられると、“どう読み解けばいいのか”の経験が不足しているため、式を作る前の段階で止まってしまいます。
しかし、ここに“導入の階段”がつくと、学びはがらりと変わります。
たとえば、
- □人に200円のケーキを買ったらいくらになる?
- ケーキの値段が140円になると、1個あたりいくら差が出る?
- 3個多く買えたということは、金額に直すといくら?
- 余った120円と合わせると、差の合計金額はいくら?
このように、入試問題を構造ごと丁寧にほどいていく補助質問があると、子どもは
「あ、習った力でできる!」
と感じることができます。
大事なのは、
“できるはず”ではなく、“できるように導く”
という視点です。
また、導入の階段づくりには高度な専門性が求められます。
- その学年がどの知識をどの程度使えるか
- どこまでの応用なら自力で届くか
- 言葉の難易度は適切か
- 問題全体の構造をどの順番で示すか
こういった判断を誤ると、かえって「難しい」「自分には無理だ」と感じさせてしまい、過去問への苦手意識を育ててしまいかねません。
過去問は、ただ解ければ良いというものではなく、“理解の道筋が見えるように設計されて初めて、四・五年生の学びに変わる教材”になります。
次回は、こうした「導入の階段」を実際の授業でどのように行っているのか、FUYUNOでの取り組みとともにご紹介します。

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