前回、学習とは「知識が増えること」ではなく、行動が変わることだという話をしました。
教育心理学では、経験によって比較的永続的な行動の変容が起きたとき、はじめて学習が成立したと考えます。
では、その「行動の変容」は、どこで最初に確認できるのでしょうか。
私は、その入口として挨拶があると考えています。
挨拶は、ほとんどの子が「したほうがよい」と知っています。
しかも、促されて挨拶をすること自体は、子どもにとってそれほど大きな負担ではありません。
声を出す。頭を下げる。動作としては、とてもシンプルです。
それでも、促されても挨拶をしない、あるいは毎回大きな抵抗が出る場合があります。
このとき起きているのは、礼儀の問題ではありません。
知っていることと、行動が結びついていないという状態です。
ここで重要なのは、「わざとしない」のか、「行動に変えること自体が難しい」のかを分けて捉えることです。
後者の場合、それは性格ややる気の話ではなく、関わりのスキルや行動調整の力に課題がある可能性を示しています。
こうした課題は、短時間で修正できるものではありません。
安心できる関係性の中で、長い時間をかけて少しずつ育っていく性質のものです。
正直に言えば、学習塾の授業時間の中で改善していける内容ではないと、私は考えています。
だからこそ、塾では最初に挨拶を求めます。
それは、厳しさを見せるためではありません。
**「促されたことを、行動に移せるか」**という学習の入口を確認しているのです。
授業でどれだけよい説明をしても、学びが行動に出なければ、学習は成立しません。
挨拶は、そのことが最も分かりやすく表れる行動です。
勉強ができるようになる子は、最初から完璧な行動ができるわけではありません。
ただ、促されたことを少しずつ行動に変える経験を、確実に積み重ねています。
挨拶は、その最初の一歩なのです。

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