ここまで、学習とは「知識が増えること」ではなく、行動が変わることだという話をしてきました。
そして、その行動の変化を最も分かりやすく確認できる場面として、挨拶があるということもお伝えしました。

では、挨拶が難しい子はどうなるのか。
あるいは、「それでも受験に向けて学びたい」という場合、どう考えればよいのでしょうか。

前回触れたように、挨拶を促されて行動に移すことは、子どもにとって本来それほど大きな負担ではありません。
それが大きなコストになっている場合、関わりのスキルや行動調整の面で、何らかの課題を抱えている可能性があります。

こうした課題は、短い時間で修正できるものではなく、長期的な関わりの中で少しずつ育てていく内容です。
学校のように長い時間を共有する場であれば、集団の中での相互作用を通して変化していくこともあります。
しかし、学習塾の限られた授業時間の中で、それを保障することは非常に難しい、というのが正直なところです。

集団授業では、学ぶ環境そのものを守る必要があります。
挨拶をしない空気に周囲が慣れてしまうことは、他の子どもにとっても決して望ましいものではありません。
だからこそ、集団で学ぶ以上、「挨拶をする」というのは最低限のルールだと考えています。

それは、厳しさを見せたいからでも、線を引きたいからでもありません。
学習が成立する前提条件を守るためのルールです。

もちろん、学びの道は一つではありません。
塾には、特別支援教育の専門性を持ち、特別支援学級の担任経験もある教師が行う個別指導があります。
少人数、あるいは個別の環境であれば、周囲への影響を最小限にしながら、学習を進めることができます。

それでも、挨拶や応対といった行動については、時間をかけて粘り強く求め続けます。
それは学習と切り離されたものではなく、学習と並行して育てていくべきものだからです。

勉強ができるようになる子は、最初から何でもできるわけではありません。
ただ、学んだことを行動に移そうとし、その経験を積み重ねています。
その最初の一歩として、挨拶がある。私はそう考えています。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です