勉強は間違い探しではなく原因探し
授業中、子供が問題を前にして手を止めています。
そんなとき、大人はついこう聞きます。
「どこがわからないの?」
とても自然な質問です。
私も使うことがあります。
しかし実は、この質問に答えることは意外と難しいものです。
例えば大人でも、
「なぜ仕事で失敗したの?」
と聞かれて、すぐに正確な理由を説明できるとは限りません。
準備不足だったのか。
勘違いだったのか。
判断ミスだったのか。
振り返って初めて気付くこともあります。
子供なら、なおさらです。
「わからない」
と言っている子供も、
本当に何が原因なのかを分かっているとは限りません。
問題文が読めていないのかもしれません。
言葉の意味が分からないのかもしれません。
考え方は合っているのに、自信がなくて止まっているのかもしれません。
でも、その違いを自分で説明するのは簡単ではありません。
実は、
「どこがわからないのかを説明する」
というのは、とても高度な力です。
自分の状態を振り返り、
整理し、
言葉にする。
大人が思っている以上に難しいことなのです。
だから、
「わからないことがわからない」
という状態も、決して珍しくありません。
そのため、経験を積んだ先生ほど、子供の言葉だけに頼りません。
どこで鉛筆が止まったのか。
問題文をどう読んでいるのか。
どの順番で考えているのか。
何度も消しているのか。
そんな小さなサインを見ながら、原因を探していきます。
私はよく、
教育は推理の工程に少し似ていると思います。
答えを教える前に、
まず何が起きているのかを調べる。
子供自身も気付いていない原因を見つける。
そこから初めて、本当の支援が始まります。
子供がうまく説明できないのは、能力が低いからではありません。
まだ自分を言葉で分析する力が育っている途中だからです。
だからこそ大人には、
答えを急ぐよりも、
まず様子を見て、話を聞いて、原因を探る姿勢が求められます。
次回予告
同じ「できない」でも、原因が違えば必要なサポートも変わります。
次回は、「原因が見えると教え方が変わる」というテーマでお話しします。

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