国語のテストに係る考察をしていきます。ここでは、漢字や語句のような語彙に関する問題ではなく、読解問題についての考察を中心に進めます。
①授業とテストの乖離
②テストの問題の類型
③テストで問われる資質・能力
④点数が取れない子供の傾向
⑤当塾における現状の対策
⑥今後必要となる取組
まず、ご自分が受けた国語の授業とテストを振り返ってみてください。私が子供だった40年前と、教員時代(*)の25年前~2年前までの間を比較しても、授業とテストの関係に大きな変化はなく、せいぜいテストがカラフルになった程度だったと感じています。みなさんも、子供のテストを見た時に特段大きな変化を感じることはないと思います。
(*)教員としては「単元を貫く言語活動」「アクティブ・ラーニング」など、一部熱心な先生方の間で学び方に変化を起こしていたのは事実ですが、それがテストに反映されていたというのはあまり実感としてありません。
その上で、現在も行われている授業とテストの関係について、他の教科と比較しながら分析的に見てみようと思います。
国語の授業は、他の教科に比べ「感じ方」を大切にしています。文中の表現や挿絵などを参考にしながら、根拠をもちながら話すことを前提としますが、その表現の仕方などは比較的自由度が高いのが一般的です。基本的には厳密な「正解」は存在しない、というスタンスで進みますから、根拠さえ挙げられれば、他と異なった考え方も認められます。
算数・理科・社会などは、考え方を表現する場面こそ、国語と似た部分はありますが、話し合い等を経て最終的に絶対的な「答え」が存在する点が国語と違います。算数を例にすれば、「答え」に至るための論理的思考を育てるのが算数科の目的であり、合わせて答えを出すスキル(知識・技能)を身に付けているかを測るのがテストの大きな役割です。
では、国語のテストはどうでしょうか。
読み取る力を測るためには、明確な「答え」が必要になります。さらに言えば、「答え」が一意に定まるような「厳密な問題」が必要です。「答え方はいろいろあっていい」「そういう捉え方でもいいね」という問題&答えでは、点数化(と他者との比較)が難しくなってしまいます。国語の「テスト」は当然、模範解答があり、(比較可能な)点数が付きます。別解は基本的には認められません。問題作成者は、解答が1つに定まるように工夫して、問題を作っています。
その結果、授業では認められていた価値観が、テストでは大きく変化してしまっています。さらに言えば、テストでは「授業で習ったこと」をほぼ必要としない、というところに他教科との大きな違いがあります。
具体的には、授業で学んだ「○○の気持ち」を暗記する勉強法が、国語のテストの対策にならないことです。このことは感覚的に理解できると思います。ほぼすべての子供たちは、テスト(の上半分)にある文章を読んで、その場で問題に答えます。
誤解を恐れずにはっきり言ってしまえば、事前に問題文を読んでいることや、授業の内容を覚えていることは、”テストの点数”に限れば、ほぼ意味がないのです。これは、他の教科と大きく違う点と言えます。
同時に、では「どうすれば国語の点数を上げられるのか」「国語のテスト対策には何が必要か」という疑問が出るのが自然です。その解説をするためには、まず「国語のテストは何を聞いてきているのか」を整理して理解する必要があります。
続きは「②テストの問題の類型」で。
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